NAXレビュー
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山本 浩司
ネットワークオーディオのてっぺんを垣間見るNAX

オーディオ評論家
山本 浩司
ぼくがネットワークオーディオに取り組み始めたのは2008年。最初に飛びついたクチだ。その前年にリンから登場したKLIMAX DSをテストし、LINN RECORDSやHQMストアから供給が始まったハイレゾファイルを聴いてその音の良さに感銘を受け、いささか無理をしてこのネットワークオーディオプレーヤーを購入したのだった。
それから17年ほどが経つが、当初は汎用のNAS(ミュージックサーバー)やスイッチングハブ、LANケーブルなどを用いており、使用上のトラブルがあったり、今ひとつ自室の音に納得できない日々が続いた。その後ネットワークオーディオが普及期を迎え、ネットワーク周辺のノイズ対策が重要ということが徐々にわかってきて、オーディオ専用設計のNASやオーディオ用スイッチングハブ、LANケーブルが登場し、それらを吟味しながら導入することで、我が家のネットワークオーディオの音質は飛躍的に向上することになったわけである。
とくに効いたのがAIMのLANケーブル「NA9」の導入だった。汎用タイプからこのケーブルに換装すると、ローレベル(音の消え際)の表現力とステレオイメージが格段に向上した。シンプルかつ丁寧に録音された音源を聴くと、幅と奥行と高さを伴ったサウンドステージが広がり、眼前に好きなミュージシャンが降臨したかのような生々しいイリュージョンが実感できるようになったのである。LANケーブルでここまで音が変わるのかと。
この秋、AIMからNA9の後継モデルとなる「NAX」を発売することになりましたというアナウンスを受けたが、「いやいやNA9の音質を超えるのは難しいんじゃ? とりあえずモデルチェンジすることでマニアの注目を集めようというコンタンだな」と疑いのキモチでNA9とNAⅩの比較試聴に臨んだところ…、これが断然違うのである。
NAXは、究極的オーディオ性能を有したLANケーブルと思っていたNA9をはるかに上回る音質を獲得していたのだ。何が違うって何もかが違う。ハイレゾファイルでシンフォニーを聴くと、スケール感がより豊かになり、低音楽器の存在感が増し、心を揺さぶる力を実感させるし、ソニー・ロリンズのテナーはより太くなって実在感が増している。リミックスされたザ・ローリング・ストーンズの1976年のアルバム『BLACK&BLUE』のファンク・チューンは、ギターの微細なカッティングの妙味をいっそう強くアピールするのである。 LANケーブルを侮るなかれ。ネットワークオーディオのてっぺんを垣間見たいという方に力いっぱいの熱を込めて「NAX」をお勧めする。
オーディオ評論家
山本 浩司



